生成AIの導入を考えているけど「本当に効果があるのかな?」、「うちの会社に合うんだろうか?」と悩まれている企業の方は多いのではないでしょうか。
新しい技術を取り入れるのは、特に初期費用や効果がすぐに見えないこともあって、なかなか踏み切れないこともあると思います。
そこで今回は、そんな方のために、生成AIを活用している企業の面白い事例や企業にオススメの生成AIサービスをいくつかご紹介してきます。
この記事を最後まで読むことで以下の3つについて理解できます。
- 企業の生成AIの活用事例
- 企業が生成AIを活用するメリット・デメリット
- オススメの生成AIサービス
生成AIを活用している日本企業の割合
総務省が発表した2024年版の情報通信白書によると、日本国内で生成AIを利用したことがある人の割合は9%にとどまっています。
これは、米国の46%、中国の56%と比較して低い水準です。
また、企業に対する調査では、生成AIを積極的に活用している(トライアルも含む)と回答した企業の割合は、日本が70.5%、中国が97.7%、米国が95.1%、ドイツは94%と日本以外は9割の企業が利用している状況となっています。
この調査結果から、日本における生成AIの活用は、他国と比べてまだ進展途上であることがわかります。
企業の生成AIの面白い活用事例10選!!
先ほど、日本での企業の生成AIの利用割合が他国と比べて低いことを紹介しましたが、中には面白い活用法をしている企業もありますのでいくつか紹介していきます。
1.自社AIで広告制作を自動化(株式会社サイバーエージェント)
株式会社サイバーエージェントでは「極予測AI」を開発し、生成AIを活用して商品画像の自動生成機能を実現しました。
これにより、従来必要だった撮影機材やセットの準備なしに、多様なシチュエーションでの商品画像を大量に生成できます。
さらにこの生成AIが単に広告を作るだけでなく、その効果を予測して最適化します。
AIが事前に広告効果を分析し、どのクリエイティブが最も高い成果を生むかを予測してくれるため、企業はより高効率で広告運用が可能になります。
2.AIアシスタントの開発により商品が短期間で売れる(株式会社メルカリ)
株式会社メルカリでは、出品者向けにAIアシスタント機能「メルカリAIアシスト」をリリースしており、商品の説明文や情報を自動で改善提案することで、出品作業をサポートしています。
特に、AIアシスタントが提供する改善提案を通じて、出品者は効率的に商品情報を最適化でき、商品がより速く売れるようになることが期待されています。
実際の成果としては、「メルカリAIアシスト」を利用した出品者が、商品情報の改善により、売れ残っていた商品が短期間で売れるようになったケースが報告されています。
メルカリはこれらの取り組みを通じて、生成AIを積極的に活用し、さらなるサービスの向上と業務の効率化を目指しています。
3.商品企画を従来の10分1を目指す(株式会社セブンイレブン・ジャパン)
株式会社セブンイレブン・ジャパンでは、商品企画のスピードを大幅に上げるために、生成AIを活用しています。
2024年春から、生成AIを使うことで、これまで時間がかかっていた商品企画のプロセスを、従来の10分の1の期間で行うことを目指しています。
このAIは、消費者のニーズを素早く分析して、新しい商品を効率よく企画できるようサポートします。
その結果、市場の変化にすばやく対応できるようになり、消費者の要望に合わせた商品をタイミングよく提供できるようになります。
また、従業員の作業量も減り、よりクリエイティブな仕事に集中できる環境が整います。
4.AIで生成した広告が優秀賞を受賞(株式会社パルコ)
株式会社パルコは、2023年の「HAPPY HOLIDAYSキャンペーン」で生成AIを活用し、モデル撮影や編集作業を行わずに、広告のグラフィックや映像、音楽などを全てAIで作成しました。
この取り組みにより、制作コストの削減や短期間での高品質なコンテンツの生成が可能となりました。
また、AIを使った独自の表現が新たなクリエイティブの可能性を広げています。
生成AIの活用により、パルコは広告制作の効率化とコスト削減を達成し、キャンペーンは高く評価されました。
特に、「デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー’23」で優秀賞を受賞するなど、業界でも注目される成果を上げています。
このプロジェクトを通じて、社内のクリエイティブチームのAI技術に対する関心も高まり、今後のプロジェクトへの応用も期待されています。
5.C.Cレモンの擬人化キャラをAIで制作(サントリー食品インターナショナル株式会社)
サントリー食品インターナショナル株式会社は、C.C.レモンのブランドプロモーションで生成AIを活用しています。
AIによってC.C.レモンの擬人化キャラクターが制作され、キャラクターの顔や衣装、声、動き、セリフなどもAIが自動生成しています。
これにより、広告制作のコスト削減や新しい顧客層へのアプローチが期待されています。
実際に作成されたキャラクターの動画は好評で、今後も様々なコンテンツでの活躍が予定されており、新しいマーケティング手法として注目されています。
6.AIにより斬新なCM制作が可能に(大日本除虫菊株式会社)
大日本除虫菊株式会社は、殺虫剤「キンチョール」の新しいテレビCM制作において、生成AIを活用しました。
このCMは、若者向けにキンチョールの認知度を高めることを目的としており、企画段階から画像生成AIを利用して制作されています。
具体的には、複数のキーワードやイメージを組み合わせてAIに入力し、生成された画像を基に映像を作成しました。
例えば、「商品が真ん中にある未来都市」や「赤い空間」「青い空間」などのイメージをAIに与え、出力された画像を3Dで再構築し、一部のシーンでは実写撮影も行われました。
この取り組みにより、従来の制作方法では考えられなかったような斬新な映像表現が可能となり、視聴者の注目を集めることができました。
また、AIを活用することで、制作時間の短縮やコストの削減も期待されています。
7.約20,732時間の業務時間が創出された(株式会社LIFULL)
株式会社LIFULLは、業務効率化を目的に、文章作成やデータ分析、アイデア出しなどのさまざまな業務で生成AIを活用しています。
これにより、作業時間の大幅な削減が実現され、2023年10月から2024年3月の間に約20,732時間もの業務時間が創出されました。
AIの導入によって業務の質も向上し、従業員の半数以上が効果を実感しています。
結果として、生産性の向上と新しい業務への時間創出が達成されました。
8.建築設計の業務効率化を実現(株式会社大林組)
株式会社大林組は、建築設計の初期段階において生成AI技術「AiCorb®」を活用しています。
このAIはスケッチや3Dモデルから多様なデザイン案を自動生成し、設計者のデザイン作業を効率化します。
これにより、従来よりも迅速にデザイン提案ができ、顧客の要望により適合した設計が可能になります。
AIによって生成された斬新なデザインは、従来の手法では難しかった複雑な形状やパターンを含み、デザインの質を向上させるとともに、設計プロセスの大幅な時間短縮を実現しました。
9.AIタレントを起用し、売上が前年比1.6倍達成(株式会社伊藤園)
株式会社伊藤園は、主力商品の「お~いお茶 カテキン緑茶」のプロモーションで生成AIを活用しています。
具体的には、パッケージデザインの開発やテレビCMの制作にAIを導入し、短期間で多様なデザイン案を作成し、制作コストを削減しています。
AIタレントを起用したCMは話題となり、低コストで高品質な広告を実現しました。
さらに、AIを活用した新パッケージは発売後すぐに売上が前年比1.6倍を達成し、ブランドの先進性をアピールしています。
10.島耕作の画像生成を担当(株式会社パルソラ)
株式会社パルソラは、漫画制作において生成AIを積極的に活用しています。
具体的には、JRAの70周年記念企画として制作された「島耕作 競馬探訪篇」の作画工程で、画像生成AI「UbiArt」を使用しました。
このAIは、原作者である弘兼憲史氏の独特な画風を忠実に再現し、手作業では時間がかかる作画工程を効率化しています。
生成AIの導入により、作画のスピードが飛躍的に向上し、制作コストの削減も実現されました。
また、AIを使っても高いクオリティを維持でき、読者からも画風の忠実な再現が高く評価されています。
この取り組みによって、今後の漫画制作におけるAIのさらなる可能性が広がりました。
企業が生成AIを活用するメリット
企業が生成AIを活用することで以下の4つのメリットがあります。
日本企業が生成AIを活用する具体的なメリットについて、よりわかりやすく説明します。
- 生産性が向上する
- クリエイティブ業務の支援
- 人手不足への対応
- 顧客満足度の向上
生産性が向上する
生成AIは、文書作成やレポートの自動生成、データの集計といった作業を自動で行えます。
例えば、人間が1時間かかるデータ分析をAIが数分で処理することができるので、従業員がルーティン作業にかける時間を減らし、その分クリエイティブな仕事や戦略的な業務に集中できます。
生成AIの活用により、人件費を抑えることも期待できます。
クリエイティブ業務の支援
広告業界やデザイン会社では、アイデアのブレインストーミングや初期デザインの案を生成AIが支援できます。
例えば、広告を作成する際、キャッチコピーを複数のバリエーションで提案したり、プロモーションビデオの原案を生成AIが短時間で作り出すことが可能です。
デザイナーはその案を基に修正を加えて、最終的な作品に仕上げることができるため、時間の大幅な短縮が期待できます。
人手不足への対応
日本では少子高齢化による労働力不足が大きな課題です。
生成AIは、これに対して効果的な解決策を提供します。
例えば、小売業界では、在庫管理や商品の発注をAIが自動で行い、従業員が商品の陳列や顧客対応に専念できるようになります。
また、製造業では、生成AIが生産計画を自動で最適化し、少人数でも効率的に工場を運営できるようにサポートします。
顧客満足度の向上
AIを活用したチャットボットは、24時間365日、顧客の質問や相談に応じることができます。
例えば、旅行会社のサイトでは、AIが自動で旅行プランを提案したり、予約手続きをサポートすることで、顧客がすぐに必要な情報を得られるようになります。
これにより、カスタマーサポートにおける待ち時間が減り、顧客満足度が向上します。
企業が生成AIを活用するデメリット
企業が生成AIを活用するメリットを先ほど紹介しましたが、反対に以下のようなデメリットもありますので注意しましょう。
- 初期導入コストが高い
- 倫理的・社会的な問題
- プライバシーやセキュリティの問題
初期導入コストが高い
生成AIを導入するには、ソフトウェアの購入、システムの構築、従業員のトレーニングなどに多くのコストがかかります。
特に中小企業では、この初期費用が負担になる可能性があります。
さらに、AIを効果的に活用するためにはデータの整備が必要で、その準備にも時間や費用がかかります。
生成AIの導入にかかるコストと、その後に得られる効果を慎重に考えることが大切です。
倫理的・社会的な問題
生成AIは人間の作業を代替する力がある一方で、倫理的な課題もあります。
例えば、クリエイティブな分野でAIが大量のコンテンツを生成することで、人間のクリエイターの仕事が減るという懸念があります。
また、AIが作成したコンテンツに著作権などの問題が絡むこともあり、法的な問題が発生する可能性があります。
プライバシーやセキュリティの問題
成AIが大量のデータを取り扱うため、プライバシーや情報漏洩のリスクが増します。
特に個人情報や機密情報を扱う企業では、セキュリティ対策が十分でないと、外部からの攻撃や内部からの情報漏洩により、顧客情報が流出する可能性があります。
また、生成AI自体が誤って機密情報を外部に出力してしまう危険性も考えられます。
企業にオススメの生成AIツール10選!!
企業にオススメの生成AIツールを10個紹介していきます。
ChatGPT
ChatGPTは、OpenAIが開発・運営しているAIサービスです。
自然な会話ができるのが特徴で、多言語対応や文脈理解にも優れています。
これにより、企業はカスタマーサポートの自動化や、マーケティング用のコンテンツ作成、データ分析結果の報告など、幅広い業務を効率化できます。
ChatGPTを導入することで、コスト削減や作業のスピードアップが期待できます。
幅広く活用可能
Transcope
Transcope(トランスコープ)は、シェアモル株式会社が提供するAIライティングツールです。
Transcopeは、GPT-4を使用して自然な文章を生成するAIツールです。
SEOに特化しており、競合分析やキーワード分析などの機能を備えています。
キーワードやURL、画像、音声など多様な入力方法に対応しており、企業情報を学習させて特定のニーズに合わせた文章も作成可能です。
Transcopeを使うことで、企業は記事制作の効率化とSEO対策を強化でき、短時間で高品質な記事を生成できます。
また、外部ライターや追加のSEOツールを減らすことで、コスト削減にもつながります。
SEOライティングを自動化
ConoHa AI Canvas
ConoHa AI Canvasは、GMOインターネットグループ株式会社が提供するAI画像生成サービスです。
ConoHa AI Canvasは、ブラウザ上で簡単に使えるAI画像生成ツールで、Stability AIの「Stable Diffusion XL」を使って高解像度の画像を生成します。
日本語対応のインターフェースやサポートがあり、国内ユーザーに最適化されています。
また、クラウドストレージで画像を管理でき、デバイスに関係なく利用可能です。
企業は、高価なPCやサーバーを使わずに、クラウドで高品質な画像生成が可能になり、コスト削減と業務効率化を実現できます。
柔軟なプラン設定により、企業の規模やニーズに応じた利用が可能です。
初心者でも画像生成が可能
イルシル
イルシルは株式会社イルシルが提供するAI搭載のスライド自動生成サービスです。
イルシルは、日本語に最適化されたAIを使って、ユーザーが簡単なキーワードを入力するだけで、プロ並みのスライドを自動生成します。
1,000以上のテンプレートが用意され、デザイン知識がなくても誰でも使えるのが特徴です。
企業はイルシルを使うことで、スライド作成の時間とコストを削減でき、営業資料や社内資料の作成が迅速になります。
これにより、業務の効率化が図られ、生産性を向上させることができます。
面倒なスライド作成を自動化
Notta
NottaはNotta株式会社が運営しているAIを活用した文字起こし・議事録作成サービスになります。
Nottaはリアルタイムで音声を高精度に文字起こしし、100以上の言語に対応しています。
ZoomやGoogle Meetと連携してオンライン会議の自動文字起こしができ、AI要約機能で重要なポイントを抽出することも可能です。
手軽に精度の高い文字起こしが行える点が特徴です。
企業はNottaを使うことで、手動での文字起こし作業を省略し、時間とコストの削減が可能です。
また、多言語対応により国際的な会議の内容をスムーズに共有でき、業務効率が大幅に向上します。
議事録係が不要に
Languise
Languiseは、BuilBridge UG社が提供するAI搭載の言語処理ツールです。
Languiseは、翻訳、校正、要約の3つの主要な機能を備えています。
PDFやWordなどの文書ファイルをそのまま処理でき、レイアウトを維持しながら高精度な翻訳や校正を行うことができます。
また、100以上の言語に対応しており、世界中のユーザーにとって便利なツールとなっています。
企業がLanguiseを活用することで、海外に拠点や顧客を持つ場合でも、文書の翻訳や校正、要約を効率的に行うことができます。
さらに、Languiseはセキュリティ面でも配慮されており、処理したデータは完全に削除され、AIの学習に利用されることもありません。
このため、機密性の高い文書も安心して処理できます。
100以上の言語に対応
Runway
Runwayは、アメリカ合衆国ニューヨーク州に本社を置くRunway社が提供するAIベースの動画編集および生成ツールです。
Runwayでは、文章や写真から自動で動画を作ることができます。
例えば、文章を入力するだけでAIがその内容に合った動画を作ってくれる機能があります。
また、写真を使って動画を作ることもでき、さらに手動で細かい編集も可能です。
さまざまな素材を組み合わせて新しいアイデアを簡単に形にできるのが特徴です。
Runwayを使うと、動画作りにかかる時間やお金を節約できます。
AIが手伝ってくれるので、簡単にクリエイティブな動画が作れますし、プロのような高品質の動画もすぐに作成可能です。
自動でプロ並みの動画作成可能
Suno
Sunoは、アメリカ・ボストンに拠点を置く企業が運営するAI音楽生成サービスです。
Sunoは、入力したテキストを基にAIが自動で楽曲を作成します。
歌詞に合わせてボーカルやメロディ、伴奏を生成し、ポップスやロック、ヒップホップなど様々なジャンルに対応しています。
専門知識がなくても簡単に使えるのが特徴です。
Sunoを使えば、企業は広告やプロモーション用の楽曲を手軽に作成でき、制作コストを大幅に削減できます。
さらに、斬新なサウンドやメロディを生み出せるため、マーケティングやクリエイティブなコンテンツ制作に活用できます。
初心者でもBGMが作れる
AItelefonista
AItelefonistaは、インター・ラボ株式会社が提供するAI電話自動応答サービスです。
AItelefonistaは、AIによる自動音声応答と音声認識を活用して、顧客の電話対応を自動化します。
受けた電話内容をリアルタイムでテキスト化し、担当者に通知する機能や、企業に合わせた柔軟な応答設定が可能です。
AItelefonistaを導入することで、電話対応にかかる時間とコストを削減でき、他の業務に集中することができます。
迅速な顧客対応によって、顧客満足度も向上します。
顧客の電話対応を自動化
PKSHA Chatbot
PKSHA Chatbotは、株式会社PKSHA Technologyが提供するサービスです。
このサービスは、日本語に特化した高精度なAIチャットボットです。
簡単に導入でき、24時間365日稼働し、企業のニーズに合わせて柔軟にカスタマイズ可能です。
企業はPKSHA Chatbotを活用することで、顧客サポートの効率化や業務負担の軽減を図れます。
さらに、顧客とのやり取りから得たデータを分析し、サービス改善にも活用でき、顧客満足度の向上に貢献します。
企業に合ったチャットボットが作成可能
まとめ
この記事では、企業が生成AIを活用してきた面白い事例についていくつか紹介してきました。
企業が生成AIを利用することで生産性の向上が期待され、データ分析や文書作成といったルーティン作業を短時間でこなし、従業員がよりクリエイティブな仕事に集中できるようになります。
まだ、生成AIを活用されていない企業は、先ほど紹介した生成AIサービスの活用も視野に入れながら、導入を検討してみることをオススメします。
最近、「生成AI」という言葉を耳にすることが多くなりましたが、どのような技術で、どのように私たちの生活や仕事に影響を与えるのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。 特に、生成AIは今までのAIと比べてどう違うのか気になりますよね。 そこで今回は、生成AIと従来のAIとの違いや生...
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