- TikTokは米国事業を売却しなければ国内での使用を禁止する新法が成立
- TikTokの米国事業を有名企業らが買収を提案
- バイトダンスと米国政府の今後の動きに注目
パープレキシティAIが買収提案—新会社設立を目指す
2025年1月19日、米国の生成AI関連新興企業であるパープレキシティAIが、中国のバイトダンスに対し、動画投稿アプリ「TikTok」の米国事業の買収を提案したことが明らかになった。
この動きは、TikTokの米国事業が売却されない場合に適用される、新たな禁止法の発効を受けてのものだ。
パープレキシティAIは、AIを活用した検索サービスを提供する企業で、グーグルやオープンAIの「ChatGPT」と競合している。
同社は、TikTokの米国事業と合併し、新たな企業を設立する意向を示している。
AI技術を活用し、TikTokのコンテンツ検索やレコメンド機能の強化を図ることで、より高度なユーザー体験の提供を目指している。
米実業家フランク・マッコート氏も買収に関心
TikTokの米国事業の買収をめぐる争いは、パープレキシティAIだけではない。
米実業家フランク・マッコート氏も、買収に関心を示していることが報じられた。
マッコート氏が率いる投資グループは、バイトダンスに正式な買収提案を行い、TikTokの既存投資家や創業者を引き続き関与させることに前向きな姿勢を示している。
マッコート氏は、TikTokを単なるエンタメプラットフォームではなく、「よりオープンで透明性の高いソーシャルメディア」に変革することを目指しているという。
イーロン・マスク氏も候補に—中国政府が検討か
さらに、世界的な起業家であるイーロン・マスク氏もTikTokの米国事業の買収候補として浮上している。
報道によれば、中国政府はTikTokの米国事業をマスク氏に売却することを検討しており、これは米国政府による禁止措置を回避するための選択肢の一つとされている。
マスク氏がTikTokを買収すれば、同社が展開するX(旧Twitter)や、AI事業「xAI」とのシナジーが期待される可能性もある。
しかし、TikTokの売却が実現するかどうかは不透明な状況だ。
バイトダンスは、これまで「TikTokの米国事業を売却する意思はない」と繰り返し述べており、現在もその方針に変更はないとされる。
TikTok禁止法と米中関係
今回の買収争いの背景には、米国政府の国家安全保障上の懸念がある。
米議会では、TikTokが「中国政府とデータを共有している可能性がある」との疑念が根強く、国家安全保障を理由に同アプリの米国での禁止を求める声が高まっていた。
2024年、バイデン政権は「TikTokが米国事業を売却しなければ、国内での使用を禁止する」との新法を成立させた。
これにより、TikTokは売却の選択を迫られることとなり、今回の買収提案の動きにつながっている。
今後の展開
TikTokの米国事業をめぐる動きは、今後さらに複数の企業や投資家が買収を検討する可能性がある。
特に、AI企業やテクノロジー企業にとって、TikTokの膨大なユーザーデータとアルゴリズムは非常に価値が高い資産といえる。
バイトダンスが最終的にどのような決断を下すのか、また米国政府が今後どのような対応を取るのかが注目される。
TikTokが存続するのか、それとも別の形で生まれ変わるのか、今後の展開から目が離せない。