
AIに任せたはずやのに、なぜか自分の作業が減らへん。
AIに文章や資料を頼むと、一瞬で形になります。
でも出てきたものを読んで、間違いを見つけて、また修正をお願いする。
これではAIに任せたつもりでも、結局ずっと自分が働いています。
この記事では、その確認と手直しの役割まで仕組みに渡す「ループエンジニアリング」のやり方を、実際に試した手順と結果で解説します。
- ループエンジニアリングが何を解決する考え方なのか
- 始めるために必要な3つの材料
- 17項目の条件でシフト表を作らせた検証の結果
- 自分の仕事に当てはめるときの合格ラインの作り方
動画で解説も行っています。
ループエンジニアリングとは
ループエンジニアリングは、AIが作ったものを決められたルールで採点し、NGならAIが自分で直して、合格するまで繰り返す仕組みを作る考え方です。
仕事が減らない理由
AIに頼むと、成果物そのものは一瞬で出てきます。
ところが出てきたものを読んで、ここが違うと気づいて、直してほしいところを打ち込む作業は毎回自分に残ります。
作業はAIがしていても、次に何を直すか決める役は人間が担当しています。

仕事が早く終わらない原因は、AIの性能ではなくこの役割分担にあります。
手直しの役をAIに渡す
ループエンジニアリングでやることは、とてもシンプルです。
採点の結果を人間を通さずにそのままAIへ返し、AIがその理由を読んで直して、もう一度採点を受ける流れを作ります。
これを合格するまで繰り返します。

人間の仕事は、指示を出すことから回る仕組みを作ることに変わります。
合格ラインを先に決める
この仕組みで一番大事なのが、合格ラインを先に決めておくことです。
いい感じかどうかではなく、300文字以内か、商品名が入っているかのように、OKかNGかをはっきり判定できる形にします。
判定できる形になっていないと、ループは回りません。
ループエンジニアリングまでの4段階
AIの使い方は、土台の上に一つずつ積み重なる形で変わってきました。
頼み方を工夫する
最初の段階が、プロンプトエンジニアリングです。
文章を作ってとだけ頼むのではなく、初心者向けに300文字以内で箇条書きでと、頼み方そのものを工夫します。
ただし頼み方をどれだけ磨いても、AIが知らないことは出てきません。
見せる材料を工夫する
次の段階が、コンテキストエンジニアリングです。
社内ルールや過去の資料、商品情報など、AIが答えを出すときに見る材料を指示と一緒に渡します。
どう頼むかに加えて、何を見せるかを整える段階です。

ここまで来ても、出てきたものを読んで直してと伝えるのは人間のままです。
働く環境を整える
三つ目が、ハーネスエンジニアリングです。
AIが使える道具や触っていい範囲を先に決めておく考え方で、合格ラインをあらかじめ用意するのもここに入ります。
AIの働き方そのものを設計する段階だと考えてください。
採点結果をそのまま返す
そして四つ目が、ループエンジニアリングです。
整えた環境の上で、採点の結果を人間を経由せずそのままAIに返し、NGなら理由を読んで直して、合格するまで自動で回します。
前の三つを土台にして成り立つ段階です。
| 段階 | 工夫するところ | 確認する人 |
|---|---|---|
| プロンプトエンジニアリング | 頼み方 | 人間 |
| コンテキストエンジニアリング | 見せる材料 | 人間 |
| ハーネスエンジニアリング | 働く環境と合格ライン | 人間 |
| ループエンジニアリング | 採点結果を返す流れ | 仕組み |
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ループエンジニアリングのやり方
始めるために用意するものは、3つだけです。
判定できる合格ライン
まず、合格ラインを言葉ではっきり書き出します。
読みやすいかではなく、文字数が300以内か、必要なキーワードが入っているかのように、数えて比べられる形にします。

判定に迷いが出る項目は、この段階で分解します。
採点はAIに任せない
次に、その合格ラインを判定する仕組みを用意します。
ここが大事なポイントで、採点をAIにやらせると自分の作ったものを自分で評価することになり、判定が甘くなる場合があると指摘されています。
マークシートの自動採点機のように、数えて比べるだけの仕組みに任せます。
止める条件
最後に、ループを止める条件を決めます。
合格できないまま作り直しが続くと、気づかないうちに利用回数や料金をどんどん消費してしまうことがあるためです。
採点は最大で何回までと、上限を先に書いておきます。
ループエンジニアリングをシフト作成で検証
今回の題材は、お店のシフト作成です。
17項目の条件で試す
スタッフの入れない時間や役割など、守るべき条件は全部で17項目あります。
手で組もうとすると、どこかを立てればどこかが崩れる、かなり頭を抱える組み合わせになります。
合格か不合格かがはっきり決まる題材なので、ループの検証には向いています。
ファイルを扱えるAIを使う
今回はClaude Codeに任せました。
パソコンの中のフォルダやファイルを直接扱えるため、答えを返すだけでなく、実際に手を動かすところまで進めてくれます。
ファイルを作ったり、プログラムを動かしたりも自分でやります。
作って採点を受けて直すという流れを任せられるのは、この力があるからです。
必要なプラン
デスクトップアプリ自体は無料で入れられます。
ただしCode機能を使うには、公式ヘルプに記載のとおりPro以上の有料プランの契約が必要です。
導入手順は別の記事でくわしく解説しています。
Claude Codeを、なんとなく使えている気になっていませんか。 CLAUDE.md、スキル、コネクター、プラグイン。 名前は聞いたことがあっても、どれが何のための機能なのか分からないまま触っている方は多いはずです。 この記事では、デスクトップアプリ版の画面を見ながら基本機能を1つずつ整理...
Claude Codeを、なんとなく使えている気になっていませんか。 CLAUDE.md、スキル、コネクター、プラグイン。 名前は聞いたことがあっても、どれが何のための機能なのか分からないまま触っている方は多いはずです。 この記事では、デスクトップアプリ版の画面を見ながら基本機能を1つずつ整理...
ループエンジニアリングの準備
用意したのはフォルダ一つと、その中の3つのファイルです。
自動で読まれる指示書
一つ目は、CLAUDE.mdという名前の指示書です。
このファイルはフォルダを開くと自動で読み込まれる仕組みで、シフトの基本条件と進め方をまとめて書いておきます。
全部OKになったら終わり、採点は最大6回まで、条件を勝手に変えるのは禁止というルールも入れました。
迷ったら止まって質問することも書いています。
数えて比べるだけの採点
二つ目は、17項目を判定するプログラムです。
決められたルールどおりに数えて比べるだけなので、判定が甘くなることも、こちらに気を使うこともありません。
作るのはAI、採点するのはプログラムと、役割をはっきり分けています。
採点に触らせない設定
三つ目は、権限の設定ファイルです。
採点の中身を覗いたり書き換えたりできないようにしておくことで、合格ラインそのものが動かされる事態を防ぎます。
公式のドキュメントでも、指示書はあくまで参考情報であって強制力のある設定ではないと明記されています。
本当に守らせたいルールは、指示書の外に置くのが確実です。
ループエンジニアリングを回した結果
ここから先の作業は、すべて任せました。
打ち込んだのは一文だけ
3つのファイルが入ったフォルダを設定して、指示書のルールどおりにシフト表を作って合格するまで回してくださいと打ちました。
すると指示書を読んだうえで、シフトの組み合わせを探すための計算プログラムを自分で書き始めました。
こちらから伝えたのは、この一文だけです。
1回目は5項目がNG
最初の採点では、17項目のうち5項目がNGでした。
ここでも何も伝えていませんが、採点係から返ってきたNGの理由を読んで、自分でシフト表を作り直していました。
人間が「ここ違うから直して」と言う場面が、まるごとなくなっています。
2回目で全項目OK
2回目の採点で、17項目すべてがOKになりました。
最後には何回目で合格したのか、各回のNGがいくつだったのかまで、自分で報告してくれました。
作る、採点する、直す、もう一度採点する。

この流れが人間を通らずに回った状態が、ループエンジニアリングです。
この結果は1回の検証
今回の結果は、一度きりの検証です。
同じ条件で回しても、何回目で合格するかや、どの項目が最初にNGになるかは変わる可能性があります。
項目がさらに増えたときや、条件同士が矛盾しているときの動きも検証できていません。

本格的に使う前に、自分の条件で一度試してみてください。
チャットで試すループエンジニアリング
いきなり専用のツールを使うのが難しそうなら、普段のチャットでも近いことは試せます。
指示文に流れを書く
やり方は単純で、指示文の中に流れそのものを書き込みます。
作ったら17項目でチェックして、NGなら直してもう一度チェックするという手順を、最初の指示に含めて渡すだけです。
考え方を体験するには、これで十分です。
自己採点は甘くなる
ただし注意点が一つあります。
チャット版では作るのも採点するのも同じAIなので、全部OKという結果はAIの自己申告になります。
自分の作ったものを自分で採点すると判定が甘くなる場合があると指摘されており、本番の品質チェックには向きません。
まずは仕組みを理解する練習として使ってください。
ループエンジニアリングの具体例
シフトは作らないから関係ない、と思った方もいるかもしれません。
使えるかどうかは仕事の種類では決まらず、どうなったら合格かをOKかNGかで決められるかどうかで決まります。
営業メール
営業メールは、合格ラインを作りやすい仕事です。
300文字以内か、商品名と価格が入っているか、使ってはいけない表現がないかは、いずれも確認すれば白黒がつきます。
感覚ではなく、数えて判定できる形になっています。
データの整理
データ整理も相性がいい作業です。
空欄がないか、重複がないか、表記が揃っているかは、いずれも目で追わなくても機械的に判定できる項目です。
毎回目視でやっている確認ほど、仕組みに渡す価値があります。
記事と概要欄のチェック
WEBライターの記事チェックは、ぴったりの例です。
文字数や見出しの数、入れてはいけない言葉、必ず入れるキーワードなど、いつも目で確認していることはほとんど合格ラインにできます。
動画の概要欄も同じで、文字数の上限やリンクの有無、ハッシュタグの数といった確認は仕組みに任せられます。
合格ラインの作り方
コツは、自分がいつもどこを見て「ここ違う」と感じているのかを書き出すことです。
なんとなく違うと感じる部分も、分けてみると長すぎる、数字が合っていないのように、確認できる理由が見つかることはよくあります。
書き出せた分だけ、確認の作業を渡せるようになります。
| 仕事 | 合格ラインの例 |
|---|---|
| 営業メール | 文字数の上限/商品名と価格が入っている/禁止表現がない |
| データ整理 | 空欄がない/重複がない/表記が揃っている |
| 記事チェック | 文字数/見出しの数/禁止語がない/必須キーワードが入っている |
| 動画の概要欄 | 文字数の上限/指定リンクがある/ハッシュタグの数 |
ループエンジニアリングの注意点
実際に回す前に、押さえておきたいことが3つあります。
止める条件を必ず決める
一つ目は、止める条件です。
これがないと合格できないまま作り直しが続いて、利用回数や料金を消費してしまうことがあります。
最大何回までと、先に書いておいてください。
合格ラインを変えさせない
二つ目は、合格ラインを動かせないようにすることです。
本格的に使うなら、今回のように採点そのものをAIの外に出して、触れない場所に置くのが確実です。
指示書に書くだけでは、強制力のある設定にはなりません。
感覚の部分は人間が見る
三つ目は、面白いか、自分らしいかといった感覚の部分です。
ここはOKかNGかで割り切れない部分なので、ループを回したあとに最後は人間が目を通す必要があります。
ループは人間の確認をゼロにするものではありません。

何度も繰り返していた確認を、最後の1回に減らしてくれるものです。
ループエンジニアリングのよくある質問

よく聞かれる疑問をまとめました。
できます。
今回の準備も、普段のチャットに条件を伝えてファイル一式を作ってもらいました。
必要なのはプログラムを書く力ではなく、合格ラインを言葉にする力です。
採点を別の仕組みに任せるには、ファイルやプログラムを直接扱えるツールが必要です。
チャットだけのツールでも流れは再現できますが、採点が自己申告になる点に注意してください。
ハーネスエンジニアリングは、AIが働く環境と合格ラインを整えるところまでの考え方です。
ループエンジニアリングは、その環境の上で採点結果を人間を通さずAIに返して回し続ける段階を指します。
積み上げの関係にあり、対立するものではありません。
あります。
読み心地や雰囲気のように、判定基準を言葉にできない部分はループに乗りません。
その場合も、確認項目の一部だけを切り出して仕組みに渡す形は使えます。
止める条件に達したら、そこで一度手を止めてください。
条件同士が矛盾している場合は、どれだけ回しても合格しません。
回数を増やす前に、合格ラインそのものを見直すほうが早く解決します。
まとめ
AIを使っているのに仕事が減らないのは、確認して直してと伝える役を毎回自分がやっていたからでした。
その役を仕組みに任せるのが、ループエンジニアリングです。
- 合格ラインをOKかNGかで判定できる形にする
- 採点はAIではなく別の仕組みに任せる
- 止める条件を先に決めておく
- 感覚の部分だけ最後に人間が見る
頼み方を磨くだけでは、確認の作業は減りません。
忙しさが変わらないと感じている方は、この仕組み作りから試してみてください。
一番高いモデルを毎回使うのは、もう終わりにしていいと思います。 Claudeを開くと、モデルの名前がいくつも並んでいます。 どれを選べばいいか分からず、とりあえず一番上のモデルを選んでいる人は多いはずです。 私は月に30本以上の記事をClaudeで書いていますが、実際に同じ指示を複数のモデルに...
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