- 法務省が「声」も既存の権利で保護と明示
- AIカバー音源のSNS公開・収益化は侵害の可能性
- ものまね・声まねは原則として対象外
法務省は8月7日、生成AIの普及で声優などの「声」が無断利用されている問題を巡り、声も既存の権利で法的に保護できるとの見解を報告書で示しました。氏名や肖像が持つ「パブリシティー権」と、人格権に由来する「みだりに利用されない権利」に、声も含まれるとの解釈です。
具体的には、歌手や声優の声を無断でまねたAIカバー音源をSNSで公開し、収益を得た場合、パブリシティー権の侵害になりうるとしています。声優に似せた声でわいせつな文章を読み上げる音源の公開も、「みだりに利用されない権利」の侵害に当たり、損害賠償などの対象となりうるとしました。一方で、人間によるものまねや声まねは、基本的に対象外です。
事業者の責任にも触れています。特定の声優の声を作れることを「セールスポイント」に有償の生成AIサービスを提供した場合、権利侵害と評価される可能性があるとしました。収益が目的でなくても、声の顧客吸引力を利用して閲覧数を稼ぎ、声優らに営業上の不利益を与えれば、侵害に当たりうるという考え方も示されています。
本人そっくりの声を再現するAI技術は2023年ごろから広まり、無断のカバー動画などが問題視されてきました。ただ、声そのものを守る法律がなく、線引きが曖昧なままでした。法務省は2026年4月に検討会を設け、全5回で論点を整理。2025年11月には声優の津田健次郎さんが、自身の声のAIによる無断模倣を巡り対応を求めるなど、被害の訴えも続いていました。
今回の報告書は新しい法律ではなく、現行法の解釈を整理したもので、法的な拘束力はありません。それでも、訴訟やAI開発の現場で判断の「参考」になると見られます。声はSNSに動画を上げる誰にとっても身近なものです。AIボイスの活用が広がるなか、利用者・事業者の双方に、これまで以上の配慮が求められそうです。

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