- 声を失った患者がAIメガネで意思疎通
- 2文字入力でAIが候補を先読み
- 沖縄の病院で実証、5月から正式提供
沖縄県浦添市の嶺井第一病院で、声を出せなくなった患者の意思疎通を支援するAIメガネ「CommunicationBoard+AI」が導入されています。脳梗塞などの脳血管疾患や気管切開で声を出せなくなり、伝えることを諦めてきた患者たちが対象です。開発したのは、札幌のゲーム開発会社ロケットスタジオです。
これまで、こうした患者との意思疎通では、スタッフがアクリル製の50音表を1文字ずつ示しながら反応を待つ方法が取られてきました。CommunicationBoard+AIは、この50音表をメガネの視界に映し、2文字ほど入力するとAIが続く言葉を予測して候補を示します。カメラを目の前の物に向ければ、その名前も候補に加わり、数分かかっていた意思伝達が数十秒から数秒にまで短縮されました。組み上がった文章は合成音声になり、家族やスタッフに届けられます。
開発を手がけたのは、プログラマーとディレクターの2人という小さな体制でした。医療法人大平会の嶺井聡理事長は「脳疾患の後遺症に苦しむ患者が再び社会とつながる力を守りたい」と、ロケットスタジオが提案するコミュニケーションボードのファーストユーザーとして実証への協力を即断したといいます。ゲーム開発で培った画面設計の知見を生かし、マニュアルなしでも操作できるUIづくりにこだわったそうです。
1月から4月にかけて行われた実証には延べ25人の患者が参加し、5月29日から正式に提供が始まりました。導入当初は操作を拒む患者も少なくなかったものの、実際に試すと夢中になって使い続けるケースが多かったといいます。声を失っても自分の言葉で語れる仕組みは、医療や介護の現場でさらに広がっていきそうです。

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