- 元塾講師がAIで合成した顔写真で近大に出願
- 入試の本人確認では見抜けず、後に発覚
- 専門家は生体認証システムの導入を提言
近畿大学の入試をめぐる替え玉受験事件で、大阪地検は6月8日、元塾講師の野口瑞希容疑者(35)を偽計業務妨害罪などで起訴しました。容疑者はAIで作成した合成写真を使い、入試の本人確認をすり抜けていたとされています。
起訴状などによりますと、容疑者は2025年9月に教え子の男子生徒になりすまして英検を受験し、合格。同年11月、その結果を使って近畿大の推薦入試に出願した際、自身と生徒の顔をAIで合成した写真を提出していたとされます。英検では容疑者自身の写真で受験していたため、照合されても気付かれないようにする狙いがあった可能性があります。
不正は後に発覚し、生徒の合格は取り消されましたが、入試時の本人確認ではこの合成写真を見抜けませんでした。スマートフォンのAIツールで手軽に顔写真を合成できる時代になり、写真と本人を見比べる従来の方法だけでは限界があることが浮き彫りになりました。
大学入試に詳しい東北大の倉元直樹教授は、公正な入試のために「従来の確認方法だけでなく、生体認証による確認システムの導入を検討すべきだ」と指摘しています。ただ、導入にはコストや個人情報の管理といった新たな課題も伴います。
AIの進化は暮らしを便利にする一方で、こうした不正にも悪用されうることを示した事例です。技術的な対策とあわせて、私たち一人ひとりの倫理観がこれまで以上に問われていきそうです。

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